『ザ・ゴール』

著者が日本での出版を認めなかった本

『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』(ダイヤモンド社)は全米で250万部以上も売れた、大ベストセラーです。
アメリカで出版されたのは1984年。

しかし、日本での出版は2001年でした。
これは著者であるエリヤフ・ゴールドラット氏が、日本で出版すして日本人がこの手法をマスターしたら、日本経済が世界中を攻め取ってしまうという理由から、日本での出版を許可しなかったといわれています。
エリヤフ・ゴールドラット氏は制約条件の理論(TOC)など、斬新なビジネス理論を考えだしたことで知られています。日本の生産システムを高く評価しており、トヨタ生産方式を生みだした大野耐一氏から教えを受けた経験があるほどです。

企業が利益を上げ続けるために必要なこととは?

では、著者が日本での出版を恐れた『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』には、何が書かれているのでしょうか。
『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』では、組織の目的は継続的に利益を上げ続けることであるという考え方に基づいて、利益を上げていく方法について小説形式で解説しています。

非常に分厚い本ですが、ストーリー仕立てなので、わくわくしながら読み進んでいるうちに、本の分厚さながまったく気にならなくほど読み応えのある一冊です。
物語の主人公はアレックス。
うだつのあがらない工場長で、本社から業績が低いので工場を閉鎖すると宣告されてしまいます。
困ったアレックスを救ったのは、大学時代の恩師であるジョナでした。
ジョナが著者のエリヤフ・ゴールドラット氏に代わって、工場再生へと導くメンターの役割を果たします。

組織が継続的に利益を上げ続けるためには、全体最適化という問題をクリアしなければいけません。
アレックスはこれまであたり前とされていた考え方で工場の経営効率化を進めていました。
コストの削減、生産効率を上げるなどを目標に、工場経営の改善を図ろうとしていたのです。

しかし組織の本来の目的は、継続的に利益を上げ続けることです。
これをゴール(目標)にしなければいけません。

シンプルな理論が成功を招く

ジョナは主人公のアレックスに、ゴールに近づくために必要なインデックスは、製造コストや人件費などではなく、1.ものを売ることで得られる利益率(スループット)2.在庫、3.作業経費の3つであると教えます。
スループットを増やし、在庫と作業経費を減らすための管理が大切なのです。
非常にシンプルな理論ですね。

また、一つの製品を完成させるためには、さまざまな工程が必要です。
しかし、その工程のどこか一カ所の効率が低下していたら、すべての工程を遅らせてしまい、業績が悪化します。
工程の1つがボトルネックとなって、全体最適を妨げるからです。
本書で紹介されているボトルネック解決法も、とてもユニークでハッとさせられます。

普通のビジネス書と異なり、小説形式ですから読みやすいのが魅力の本書。
楽しみながら、ゴールにたどり着くための科学的な解決手法が学べます。
舞台は工場ですが、生産業だけでなく、さまざまな企業に応用できる理論なので、どんな職業に人にも役立つはずです。